こんにちは。
毎日新聞と産経新聞の元辣腕記者である古森義久氏が「Japan In-depth」で、
アメリカ・ニューヨークタイムズ紙のある記事が「強制労働(forced labor)」「性奴隷(sex slave, sex slavery)」という言葉を多用してとんでもない偏向報道を行っていると告発・批判しました。
今回は実際に問題記事を読んでみて、
- 「偏向報道」とされる英語記事を読んで問題部分を見てみよう
- 偏向報道の常習犯?ニューヨークタイムズとは
- ニューヨークタイムズのその他の英語ニュース
- 英語ニュース原文をコピペして聞き流ししよう
の順にご紹介します。
「偏向報道」とされる英語記事を読んで問題部分を見てみよう
8月9日に古森氏がニューヨークタイムズ紙の「偏向報道」を告発・批判した記事がこちらです。
8/9 [Japan In-depth] 日韓対立で米紙酷い偏向報道
文中で古森氏は、当該記事において、
いはゆる「従軍慰安婦問題」や「徴用工問題」で事実を曲げて韓国を擁護している個所を列挙し、反トランプ・反安倍の主張に結びつけていることを批判し、
「ここまでの偏向報道には日本政府として抗議をしてもよいのかもしれない」と締めくくっています。
上記記事にはソースが無かったため探すのに苦労しましたが、
下記が古森氏が批判するニューヨークタイムズ紙の英文記事です。
古森氏が「Japan In-depth」の記事で批判した部分と、それに該当するであろうニューヨークタイムズ紙の記事の該当部分を抜き出します。
(古森氏の批判部分)
その(記事の)内容は日韓両国のいまの対立が日本の朝鮮半島統治時代の虐待やまだその謝罪をすませていないことが原因だと述べ、韓国側の日韓条約無視の賠償請求という文在寅政権の無法な行動にはほとんど触れていなかった。
(ニューヨークタイムズ紙の該当部分)
Still, the wounds of the colonial era have never fully healed. South Koreans argue Japan has not sufficiently apologized for its wartime atrocities while the Japanese argue they have done enough, both legally and politically.
「argue」という単語を「Weblio英和辞典」で調べて見ると、後ろに「that」節がある場合、
「〔+that〕〈…だと〉主張する.」「〔+that〕〈ものごとが〉〈…であることを〉示す.」
となっています。
翻訳してみると、
「韓国人は日本は戦時中の非道な行いについて十分に謝罪していないと主張し、一方で日本人は法的にも政治的にも既に十分に(補償や謝罪を)行ったと主張する。」
となり、
ここの部分でニューヨークタイムズは韓国人の主張はこうだと言っているに過ぎず、
古森氏のこの部分に対する批判は行きすぎだと私は思います。
ニューヨークタイムズの偏向報道には定評?があり、批判したい気持ちは私にもありますが、フェアにみることは必要ではないでしょうか。
次に古森氏の批判部分とそれに対応するであろう文章について見てみましょう。
しかも同記事は慰安婦をなお「性的奴隷」と繰り返し断定し、日本側による韓国人の戦時労働も日本側が責任をとっていないという趣旨を書いている。
●同記事はさらに慰安婦について繰り返し「政的奴隷」「強制された性的奉仕」と書き、日本軍が組織的に女性たちを連行して、売春を強制していたという意味の記述で一貫していた。アメリカ政府の公式資料や日本側の調査研究によって慰安婦たちが「性的奴隷」でも「強制連行」の対象でもなかったことはすでに証明されており、この記事はその点もこれまた日本側に不利な形で事実を無視していた。
Prime Minister Shinzo Abe’s political party, the Liberal Democrats, has also stoked nationalist feelings in Japan with various actions, for example by proposing new language for school textbooks stating there is still a dispute about whether the Japanese Army played a direct role in forcing so-called comfort women from Korea and elsewhere to work as sex slaves for its soldiers.
But last November, the Moon government dissolved a foundation established under the settlement, inciting distress in Tokyo. A month earlier, South Korea’s Supreme Court ruled in the first of a series of cases awarding compensation from Japanese companies to victims conscripted as forced labor during Japan’s imperial expansion before and during World War II.
河野談話やそれを継承している安倍内閣も、日本軍が慰安婦に関与したことは認めており、
日本軍の一部が設置依頼・治安維持・衛生検査・移送などの良い関与をしたことは当然であって否定する人はほとんどいません。
(慰安所が存在したおかげで、日本軍による強姦事件は、政治的にでっち上げられたと思われる不確かな「証言」以外には数百件に留まると思われます。)
しかし、慰安婦が奴隷のように拘束されたというのは大間違いであり、慰安婦には接客拒否の自由や外出の自由があり、収入は今日の開業医並みでした。
(当たり前ですが、奴隷のように慰安婦を拘束した非軍人による違法行為が1件も無かったと言っている訳ではありません。実際に、朝鮮総督府の資料によれば、朝鮮半島において毎年何百から何千件もの民間人による誘拐事件が発生しており、これは騙してついてこさせたのも含む数ですが、かなりの数の違法行為があったことは間違いありません。ただし、犯人の約99%は朝鮮人でした。)
労働契約を結び契約上の観点から嫌々でも働かざるを得なかったという事実が頻繁にあったとしても、それを奴隷とは呼びません。
(多くの場合、慰安婦の親が前借金を受け取り、娘は仕方なく同意して慰安婦となり、家族の為に性労働に従事しましたから、彼女たちの身の上には多大な同情の余地があります。)
「戦時労働」についてですが、「forced labor」を使うと、強制連行を伴う「強制労働」と訳されることが多い違法な行為を意味し、「forced work」を使うと国家総動員法などの法律によって行われた合法的だが「強制力を伴った労働」を表します。
(もちろん、詳しくない米英人が直観的に考えるのはどちらも「強制労働」だということが本当のところでしょう。)
ですから、古森氏の批判は的を得ていると言えるでしょう。
以下に古森氏による批判(赤枠)とニューヨークタイムズ紙の該当部分(青枠)を抜粋していきます。
●まずいまの日韓両国の対立の原因について記事の冒頭に近い部分で「今回の争いは第二次大戦の前と最中の日本による朝鮮半島の植民地的占領と、その期間に日本が冒した強制労働や性的奴隷を含む虐待行為への負債をまだ払っていないことを原因として起きている」と書き、その原因が日本の虐待とその未決済にあると断じていた。
The discord stems from Japan’s colonial occupation of the Korean Peninsula before and during World War II, and what, if anything, it still owes for abuses committed during that era, including forced labor and sexual slavery.
●同記事はさらに冒頭部分で日本の韓国への輸出面での優遇措置撤回に韓国側が激しく反発していることを簡単に伝えながらも、その後にすぐ続いて「日韓両国間の現在の離反は貿易についてよりも両国の苦痛に満ちた歴史についてなのだ。1990年代には両国は和解の措置も多々、進めたが、なお植民地時代の傷は癒えず、韓国側は日本が戦時の残虐行為を十分に謝罪していないと主張している」と述べ、これまた現在の対立の原因には触れていない。
But the current divide between South Korea and Japan is as much about their painful shared history as it is about trade.
Tensions between Japan and South Korea have waxed and waned since Japan’s surrender in World War II brought the occupation to an end.
Starting in the 1990s, relations began to warm as South Korea dropped its bans against Japanese videos and comic books. In 2002, the two countries were co-hosts of the World Cup in soccer. Tourists flow between the two countries and its companies are mutually dependent.
Still, the wounds of the colonial era have never fully healed. South Koreans argue Japan has not sufficiently apologized for its wartime atrocities while the Japanese argue they have done enough, both legally and politically.
●同記事は今回の対立について全体の半分ほどの部分でやっと文在寅政権が両国外相声明で完全に終結したと合意した慰安婦問題の財団を解散したことに簡単に触れて、それに続く形で韓国側最高裁が戦時労働者への賠償請求判決を下したことへの日本側の反発を初めて伝えていた。つまり今回の対立の真の原因をすっかりすりかえ、矮小化しているのだ。また記事は今回の対立の原因の一つとなった韓国軍の日本の自衛隊機への攻撃準備のレーダー照射事件にはまったく言及していなかった。
At the time, the two leaders called the deal a “final and irreversible resolution.”
But last November, the Moon government dissolved a foundation established under the settlement, inciting distress in Tokyo. A month earlier, South Korea’s Supreme Court ruled in the first of a series of cases awarding compensation from Japanese companies to victims conscripted as forced labor during Japan’s imperial expansion before and during World War II.
Japan argues that the court ruling violates a 1965 treaty that established diplomatic relations between the two countries and provided $500 million in aid and loans to South Korea. The treaty describes all claims arising from the colonial era as “settled completely and finally,” wording that Japan has repeatedly highlighted when arguing the Supreme Court rulings are invalid.
●同記事は安倍首相についても「保守的なナショナリストとして攻勢的な軍事政策を推進している」とか「安倍首相の率いる自民党は慰安婦が強制連行されなかったというような主張を広げ、日本側の民族主義的な感情をあおった」などと書き、いかにも安倍首相にいまの日韓対立の責任があるかのように論じていた。
Prime Minister Shinzo Abe’s political party, the Liberal Democrats, has also stoked nationalist feelings in Japan with various actions, for example by proposing new language for school textbooks stating there is still a dispute about whether the Japanese Army played a direct role in forcing so-called comfort women from Korea and elsewhere to work as sex slaves for its soldiers.
In Japan, Mr. Abe, a conservative nationalist, has also been pushing a more aggressive military posture.
既に書きましたが、日本軍がよい関与をしていたのはほとんど誰も否定していないにも拘わらず、論争があるかのように書くのは、
(良い)関与が見つかったと騒いで、あたかも悪い関与が見つかったかのように印象付けたいのでしょう。
偏向報道の常習犯?ニューヨークタイムズとは
クリントン・ニュース・ネットワークと揶揄されるほど先の大統領選挙でクリントン候補を応援したCNNと並び、
日本の朝日新聞と提携するリベラル紙として有名です。
そして、当たり前ですが、アメリカ民主党を応援して共和党のトランプ大統領の批判を頻繁にしています。
それにしても、けっこう有名な日刊紙なのに、たったの48万部しか発行していないんですね。
(読売新聞は押し紙を含むでしょうが、802万部。)
同じリベラルの朝日新聞は、嘘の「吉田証言」を大々的に取り上げて、いはゆる「従軍慰安婦」問題をでっち上げるなど、大誤報(捏造!?)を日本でやらかしており、
インターネットで広く検証が行われるようになってから、
「リベラル派(左派)は真実よりも扇動を優先するためによく嘘をつく」ということが広く浸透してきています。
例にもれず、左派の大元締めである中国共産党の軍隊である人民解放軍は、堂々と扇動の任務を「三戦」として「中国人民解放軍政治工作条例」に定めています。(Wikipediaより)
三戦
- 「輿論戦」は、中国の軍事行動に対する大衆および国際社会の支持を築くとともに、敵が中国の利益に反するとみられる政策を追求することのないよう、国内および国際世論に影響を及ぼすことを目的とするもの。
- 「心理戦」は、敵の軍人およびそれを支援する文民に対する抑止・衝撃・士気低下を目的とする心理作戦を通じて、敵が戦闘作戦を遂行する能力を低下させようとするもの。
- 「法律戦」は、国際法および国内法を利用して、国際的な支持を獲得するとともに、中国の軍事行動に対する予想される反発に対処するもの。
ニューヨークタイムズのその他の英語ニュース
ここ数日の日韓関係についての記事を2つ挙げてみます。
以下の記事では「性奴隷(sex slave, sex slavery)」という言葉は使っていませんが、「強制労働(forced labor)」という言葉を使っています。
現在進行形で法律に基づいてはいるものの強制徴兵を行っている韓国が、どの口で日本の応募労働や法律に基づく徴用を批判するのでしょうか?
以下の記事では、慰安婦問題や応募工問題は扱わず、日韓の最近の貿易問題を中立的に書いています。
英語ニュース原文をコピペして聞き流ししよう
ここまで読み進めてくださった皆さんは、日韓関係に大いにご興味がおありの方々でしょう。
ご興味のあるニュースがあるということは、大いにモチベーションを持てる文章があるということで、
語学学習に大いに役立ちます。
皆さんのご興味のある英語ニュースを探し、精読と聞き流しを行い、英語を上達させましょう。
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