こんにちは。
日本政府による韓国をホワイト国から除外するとの閣議決定を受け、
韓国のムンジェイン大統領が臨時国務会議を開いて冒頭でスピーチを行いました。
(ホワイト国とは、輸出手続き簡素化の優遇措置を受けられる国のことです。)
今回は、
- ホワイト国除外を閣議決定するまでの流れ
- 臨時国務会議における文在寅大統領の談話の英訳と日本語訳の全文
- 談話の趣旨と要旨
- 談話を使って英語を聞き流し
の順にご紹介します。
ホワイト国除外を閣議決定するまでの流れ
7月4日から半導体製造などに使い軍事転用も可能な重要3品目(フッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガス=高純度フッ化水素)については輸出管理の厳格化が既に行われてきていましたが、
今回のホワイト国からの除外が施行されれば対象が一気に約1100品目に拡大し、
輸出許可を受けるには厳格な手続きと書類審査が必要になります。
最長90日の時間がかかると言われており、過去に第三国や怪しい会社への転売や流出を行っていないことを書類審査で証明しなければ不許可となってしまいます。
韓国では文大統領の就任後、半導体製造に必要だったはずの量と購入量の間に大きな差があり、行き先が行方不明になっているフッ素関連物質が大量にあるとのことです。
北朝鮮やイランなどに転売や流出させたのではとの疑惑も深まっているため、韓国には書類でしっかりと無実を証明できる自信が無い(又はしたくない)のかもしれませんね。
日本政府は、7月1日に既に韓国をホワイト国から除外するとの方針を発表しており、経済産業省は国民から意見を受け付けていましたが、
意見募集(パブリックコメント)の賛成約95%反対約1%という結果に終わりました。
国民の幅広い支持を得た安倍内閣は、この政令を8月2日の閣議決定で正式決定しました。
(8月7日に公布され28日から施行。)
臨時国務会議における文在寅大統領の談話の英訳と日本語訳の全文
下のリンクは、「メモリーサポーター本体」に内蔵されている談話の文章で、英語は韓国政府が韓国語から翻訳したもの、日本語はその英語訳から弊社が翻訳したものです。
日本語と英語を段落ごとに交互に表示したもので、英語学習にも最適です。
(日本語訳と英語訳の全文)
(日本語訳の全文)
臨時国務会議における文在寅大統領の冒頭発言「いつかは越えなければならない山」
(弊社訳)
この国務会議は外交的および経済的な緊急事態に対応するため、取り急ぎ召集されました。
今朝、日本政府は、いわゆるホワイト国リストから韓国を除外することを決定しました。これは非常に無謀な決定であり、問題を解決するための我が国の外交努力を無下にし、状況を更に悪化させるものです。私はここに深い遺憾の意を表明します。
結局日本政府は、問題を外交的に解決するためにリーダー同士が会談しようという韓国政府の提案と、袋小路への道を駆け下りないようにという私たちの警告を、どちらも払いのけました。日本政府は、日韓両国が一定の期限を設けて交渉の時間を作り現在の状況がさらに悪化するのを防ごうという米国の提案さえ、受け入れませんでした。
明白になったことがあります。外交的に問題を解決しようと韓国政府や国際社会が努力をしてきたにも拘わらず、それを無視して状況を悪化させたことについての責任は日本政府にあるということです。従いまして、私は、今後起きる事態について日本政府が全ての責任を負うべきであると明確に警告します。
どのような口実を述べようとも、日本政府の決定が植民地支配中に行われた強制労働に関する韓国人犠牲者への大法院判決に対する経済報復であることは、否定できるものではありません。日本の行動はまた、「国際法の大原則」はもちろん「強制労働の禁止」や「三権分立に基づく民主主義の土台」という人類の普遍的価値をも棄損するものです。今般の日本政府の行動は、G20サミットで自身が擁護した自由貿易秩序に反しています。更に、過去に日本政府自身が表明した被害者の個人請求権は消滅していないとの立場とも矛盾しています。
さらに深刻なのは、日本政府によるこれらの動きが、将来の経済成長を妨げることにより我が国の経済を攻撃して傷つけるという明確な意図を持っているという事実です。私たちの最も近い隣人であり友人であると見做されてきた日本がそのような措置を講じたことは、本当に残念でなりません。
日本が今日行った措置は、両国間の長年の経済協力と友好的なパートナーシップを損ない、二国間関係に重大な挑戦を投げかけるものです。さらに、それは利己的で破壊的な行為であり、世界のサプライチェーンを損ない、世界経済に大混乱をもたらします。国際社会から非難されることは間違いありません。
このような厳しい状況下では、日本の措置は韓国経済に更なる困難をもたらすでしょう。しかし、私たちが日本に二度と負けることはないでしょう。私たちは無数の困難を乗り越えて今日まで発展してきました。かなりの困難が予想されますが、私たちの企業と国民はこれらの困難を乗り越える能力を持っています。私たちが過去にいつもしてきたように、私たちは実際に逆境を飛躍の機会に変えるでしょう。
材料や部品の代替輸入先を確保し、備蓄を構築し、独自の技術を採用し、現地生産のための技術を開発し、新しい工場を建設し、既存の工場を拡大するための財政支援を提供するなど、政府は企業への損害を最小化できうるあらゆる方法で支援を提供します。政府はこの状況を奇貨として材料・部品産業の競争力を高めて製造業の大国としての韓国の地位をさらに強化することにより、我が国が再び他国の技術覇権に従属することのないよう尽力します。
政府と企業、大企業と中小企業、労働者側と管理者側、そしてすべての人々が力を合わせれば、これらの目標を十分に達成することができます。国民の皆さん、政府と企業の能力を信頼し、自信を持ち、一緒に進もうではありませんか。
一方で、私たちが決して望んでいないことですが、韓国政府は日本の不当な経済的報復措置に対応して断固として対抗する措置を講じます。
もし巨大な経済力を持っている日本が、私たちの経済を傷つけようとの意図を持っているとしても、韓国政府もまたそれに対する対抗策を持っています。私たちは、悪事の扇動者である日本が私たちを圧迫するこうした状況を傍観することはありません。日本政府が講じた措置に従って段階的に対応を強化していきます。
既に警告したように、日本が意図的に私たちの経済に打撃を与えた場合、日本自体も大きな損害を被るでしょう。
ことここに至っても、韓国政府は報復合戦となる悪循環を望んでいません。これを止める唯一の方法があります。日本政府は、できるだけ早く一方的かつ不当な措置を撤回し、対話への道を歩まなければなりません。
私たちの不幸な歴史のために、韓国と日本の間には深い傷があります。しかし、両国はステッチ、薬、包帯を使用して傷を癒そうと長い間努力してきました。しかしながら、加害者である日本が長い時を経て古傷を再びえぐるならば、歴史の事実を知っている国際社会が決してそれを容認しません。日本はこの事実に真正面から向き合わなければなりません。
韓国国民に訴えます。今年はとりわけ、三一独立運動と大韓民国暫定政府設立の100周年に当たる年です。
ある国が武力を使って他の国を支配できるという古い秩序は、過去の遺物に過ぎません。今日の大韓民国は過去の大韓民国ではありません。国民の民主主義の能力は世界でもトップクラスであり、私たちの経済は国際標準を大きく超えて成長しました。困難を完全に克服する潜在能力があります。近未来に限れば、苦難が伴うかもしれません。しかし、もし私たちが困難に屈すると、歴史が繰り返されてしまいます。もし私たちがその替わりにその困難を機会と捉えて新たな経済的飛躍をもたらすチャンスに変えれば、日本に完全に勝利することができます。私たちの経済は日本を凌ぐことができます。
「歴史に近道はあるが抜け道はない」ということわざがあります。この課題は「いつかは越えなければならない山」です。今の時点で立ち止まると、山を越えて移動することはできなくなります。政府は国民の皆さまの偉大な力を信じて道を切り開きます。私たち国民は共に手を携え、もう一度挑戦して困難を乗り越える歴史を作ろうではありませんか。私たちにはそれができます。私はすべての政府官庁や政府機関に、困難を乗り越えるために企業と共に立つという、不退転の決意を持って取り組むことを求めます。
談話の趣旨と要旨
前の章でご紹介した談話の文章を読んでいただけると分かりますが、これは文章のタイトルである「臨時国務会議における文在寅大統領の冒頭発言」で連想される単なる「発言」のレベルではなく、
韓国国民に決起を促す、大東亜戦争開戦時の東條首相の演説を思い出させるような、
感情が込められた決起談話となっています。
キーフレーズとなりそうなところは、前の章の日本語訳の中で太字にしましたが、
各メディアも文大統領の「冒頭発言」を「重要談話」と捉えて分析しています。
談話を使って英語を聞き流し
最後に、いつもながら弊社の「多言語学習サイト・メモリーサポーター」の紹介をお許しください。
(日本語訳と英語訳の全文)
上記は現在約2400本ある内蔵記事の1つで、記事を開いていただくと、主に下記3つのような機能があります。
解析機能
英単語に意味を付与してクリック時に一瞬で表示できるようにしたり、ログイン時には学習・復習すべき単語に枠を付けたりリストとして出力したりする。
朗読機能
音声を選択して最大10段階の速度で最大約36ヵ国語を朗読できる。
辞書機能
各々の表示言語や母国語により、最大4つの外部辞書が表示されるようになっており、
自分の好きな辞書や検索サイトなどに変えることもできる。
これら内蔵記事を用いて、
まず単語の意味や文章の意味を調べつつ精読し、
「朗読繰り返し」を多数に設定し、朗読速度を変えつつ何十回も繰り返し朗読させ、
他の作業やゲームをしながら、聞き流しまくってみてください!
ある時、英語がびっくりするくらい聞き取れるようになっていますよ。
さて、どのように読みたい記事を探すかですが、
このページの上部タブの「メモリーサポーター本体」から「内蔵記事を検索」から「記事」を選択すると「検索ページ」が開き、
天皇陛下や首相や大統領のスピーチ、歴史的なステートメントなどのコレクション約2400本の中から、
- カテゴリー
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- 翻訳先言語
- 事象発生日
- ヘッドラインに含まれる語句
など、いろいろな条件で検索し、読みたいものを探すことができます。
他にも皆さんの読みたい記事を検索し、精読と聞き流しのコラボで英語を効率的に学習してください。
(お好きな文章をコピペして学習する「貼り付けページ」もあります。)