こんにちは。
河野太郎外相が海外三紙に寄稿し、日本の立場を説明しつつ韓国を批判しました。
今回は、
- 韓国メディアが河野外相の寄稿文を批判
- シンガポールとタイのメディアへの寄稿文の原文
- アメリカメディアへの寄稿文の原文と翻訳
- 原文をコピペして英語を学ぶ-聞き流しも
の順にご紹介します。
韓国メディアが河野外相の寄稿文を批判
韓国三大紙の1つ、中央日報の日本語版で次のような報道がされました。
9/9 [中央日報] 河野外相、シンガポールの英字紙にも「韓国批判」の寄稿文…世論戦に総力
上記記事の前半は淡々と事実関係を述べているものの、後半になると誇張や捏造が混じり始めます。
後半のある段落がこちら。
(河野外相の)寄稿文の最後には韓国の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定は北東アジアの安保環境を完全に誤認したものと批判し、7月から日本政府が韓国だけを狙って輸出規制措置を発動したことは徴用賠償判決と関係がないという強引な主張も繰り返した。
相手が信頼を裏切る行為を行った場合に、特別に相手に与えていた優遇措置を取りやめることは、国と国との関係だけではなくどこにでもよくある話です。
武器製造に転用可能な材料や技術の扱いには特別な注意と管理が必要です。
管理をしっかり行っていないのではないかとの疑惑があり、日本から問い合わせを3年間も受け続けていたにも拘わらずそれを無視していたなら、
しっかりと管理を行っているとして、信頼できる相手に特別に与えていた優遇措置を取り消されて当然です。
それを「強引な主張」であると理由も書かずに決めつけて印象操作を行ってます。
次の段落がこちら。
この日の寄稿文は4日のブルームバーグへの寄稿文と、5日のバンコクポストへの寄稿文「日本と韓国の間の真の問題は信頼(The Real Issue Between Japan and Korea Is Trust)」よりも韓国の責任をさらに強調した。
寄稿文「日本と韓国の間の真の問題は信頼」は次の章で取り上げます。
次の段落かつ最後の段落がこちらです。
内容は似ているが韓日対立は韓国が1965年の韓日請求権協定の時の約束を守らずに起きたという「ごり押し主張」にさらに焦点を合わせている。特に「過去の民間労働者」という表現を使って徴用被害者に強制性がないというイメージを与え、韓日対立の原因が韓国政府にあるという印象を植え付けるのに注力した。
1965年の日韓請求権協定には明々白々に「完全かつ最終的に解決」と書いてあり、
それを守らないことにが最大の理由ではなく単なる「ごり押し主張」であるとして、理由も書かずに片づけてしまう、
このような韓国メディアの「報道」は報道の名に値するのでしょうか。
(1965年 日韓請求権協定)
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(日韓基本条約に付随する日韓請求権協定)
第二条
1. 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
2. この条の規定は、(概要:戦後2年後以後に相手国に居住したことのある人の財産、戦後通常の売買で得た財産、相手国の管轄下となった財産)に影響を及ぼすものではない。
3. 2の規定に従うことを条件として、(概要:相手国の管轄下にある自国と自国民の財産・権利・利益と)一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日(=日韓請求権協定署名日)以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。
第三条
1. この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。
2. 1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に(概要:日韓両国が各々一人仲裁委員を選んで2人の仲裁委員が三人目の仲裁委員を協議で選び、その仲裁委員会に付託する。)
3. (概要:上記2がうまく行かなければ、日韓両国が仲裁国を1つずつ選び、その2つの仲裁国が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議して第三の仲裁国を選び、その第三の仲裁国が第三の仲裁委員を指名し、これら3人の仲裁委員により仲裁委員会が構成される。)
4. 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。
また、『「過去の民間労働者」という表現を使って徴用被害者に強制性がないというイメージを与え』とありますが、
徴用は国家総動員法やそれに付随する法律により全ての日本人に適用されたのですから、
同じ大日本帝国の国民であった朝鮮人(朝鮮系日本人)にも適用されるのは当然の話です。
また、日本人(日本系日本人)は徴用どころか何百万人も徴兵され何百万人も戦死しており、
徴兵や徴用をされた人の割合は、日本本土では朝鮮半島に比べてずっと高かったのです。
韓国では現在でも男性にだけ約2年の徴兵を行っており、法律で強制されています。
韓国は現在でも月に約2万円とべらぼうに安い給料で徴兵しておきながら、
戦時中の日本が現在価値で数十万円から約百万円にも達する月給を払って徴用したことに対して批判を続け賠償を求めています。
(そもそも徴兵や徴用という言葉は強制を伴うもので、強制をわざわざ前につける必要はありません。)
条約という国際法を守らない上に道徳的にも出鱈目な韓国の主張を、韓国の影響が大きな多くの日本のメディアによって今でも信じ込まされている可哀そうな日本国民が一定数おり、
彼らは自分は善人であるとの優越感に浸っているものの、
実際には亡くなって反論できない人に罪を被せて利益を得ようという、弱い者虐めの極みとも言うべき行為に加担してしまっており、
もっと事実を客観的に公平に見られるようになってもらいたいものです。
シンガポールとタイのメディアへの寄稿文の原文
前章の韓国・中央日報の記事の中で批判的に書かれていた、河野外相のシンガポールとタイメディアへの寄稿文がこちらです。
シンガポールのストレーツタイムズへの寄稿文
以下は河野外相がシンガポールの英字新聞ストレーツタイムズに英語で寄稿した原文です。
始めの2つの段落を抜き出します。
Cooperation between Japan and the Republic of Korea (ROK) is crucial – not only because we are close neighbours, but also because it is a prerequisite for peace and stability in the region, including for addressing the issue of North Korea. But cooperative relationship is not a given; it requires constant attention and care, which Japan and the ROK have expended much effort on for many years.
Over time, both sides have built a close, friendly and cooperative relationship, based on the Treaty on Basic Relations between Japan and the ROK and other agreements that the two countries concluded when they normalised ties in 1965. However, our two countries are now facing difficulties concerning the issue of former civilian workers from the Korean Peninsula during World War II.
アメリカメディアへの寄稿文の原文と翻訳
ブルームバーグへの寄稿文
以下は河野外相がアメリカメディアのブルームバーグに寄稿した原文の日本語版と英語版です。
初めの2つの段落を、段落ごとに日本語と英語を対比して抜き出します。
日韓関係は現在、第2次世界大戦中の旧朝鮮半島出身労働者に関する問題により、厳しい状況にある。この問題の核心は、1965年に国交を正常化させることを決定した際に二つの主権国家の間で交わされた約束が守られるか否かということである。
Relations between Japan and South Korea are currently strained due to a dispute over former civilian workers from the Korean Peninsula during World War II. The heart of the problem is whether the promises made between our two sovereign states when they decided to normalize their relations in 1965 will be kept or not.
一部の人たちは、最近の日本の韓国に対する輸出管理の運用の見直しをこの旧朝鮮半島出身労働者問題と関連付けている。私は、これらの問題が完全に別個のものであると明言したい。
In some people’s view, Japan’s recent update of its export control measures related to South Korea is linked to this question of former civilian workers. I want to make it clear that they are completely separate issues.
この2つの段落には、この寄稿文全体の要旨が纏まっています。
その後の段落で、上の要旨が導かれる理由やその説明を行っていますので、その部分の概略を私からの説明を付けてまとめてみます。
1965年に結ばれた日韓基本条約とそれに付随する日韓請求権協定において、
無償(返済しなくてよい)と有償(返済しなければならない)を合わせて5億ドルの経済協力金(当時の韓国の国家予算の1.6倍)の支払いを約束し、
日韓両国と日韓両国民の間の財産・請求権に関する全ての問題が「完全かつ最終的に解決」されたことを確認しています。
- 請求権協定には「被徴用韓人未収金」や「戦争による被徴用者の被害に対する補償」も含まれていること、
- 日本が個人補償を申し出たが韓国は韓国が個人補償も責任を持って行うといってその分の金を協力金に上積みしたこと、
- 2005年8月に韓国政府自らが、日本から無償資金協力として受け取った3億ドルには「強制動員」に関する「苦痛を受けた歴史的被害」の補償も含まれていることを再確認したこと
を説明しています。
そして昨年の大法院の判決で、原告である徴用工ですらない自ら応募して日本へ出稼ぎに行った元労働者(応募工)に対して、一人当たり約1000万円の賠償を命令する判決が被告となった日本企業に下りました。
該当企業は現在資産を差し押さえられており、日本政府は差し押さえられた資産が現金化されれば報復措置を取ると宣言しています。
原告側は該当する日本企業に押しかけて交渉を求めてきましたが企業側は拒否、
原告側は近く資産を現金化することを宣言していますがなかなか現金化せず、
原告側はあの手この手を使ってなんとか企業側から少しでも譲歩を引き出そうとしています。
ここで少しでも譲ろうものなら、合計20万人ほどと言われる元出稼ぎ労働者(応募工)や、その子孫が次々に似た訴えをしてくることが明らかであり、
そもそも日韓基本条約すら守らない韓国側と話し合いをして約束をしたとしても、また後日因縁を付けて守らないことが明らかなので、
日本政府やまともな日本企業は応じるところはほとんどないでしょう。
日本企業が1つでも応じれば蟻の一穴となり大変なことになりますので、日本国民としてもしっかりと見張っておかなければなりません。
このような日韓請求権協定に反する韓国大法院判決が下って日本企業の資産が半分盗ま(=差し押さえら)れるという司法手続きが進んでいる状況にありますが、韓国政府は是正するいかなる具体的な措置も講じていません。
次に寄稿文にはこのように書いてあります。
こうして、50年以上たって、韓国は両国政府間によって合意された約束を一方的に覆したのである。これがわれわれが直面する問題の本質である。もし国際的合意が一国の国内事情によって破られることが可能となれば、われわれは安定した国際関係を維持することは決してできないだろう。
In effect, after more than 50 years, South Korea has unilaterally abrogated the pledges made by our two governments. This is the crux of the issue we face now. If an international agreement can be broken because of the domestic circumstances of one country, we will never be able to maintain stable international relations.
私は、韓国政府がこの問題について、国際法および国家間の関係の観点から対応し、国際社会の責任ある一員として具体的な措置を講ずることを強く望む。
I strongly hope that the South Korean government addresses this issue from the standpoint of international law as well as bilateral state-to-state relations, and takes concrete actions as a responsible member of the international community.
もう一つ重要なポイントとして、寄稿文では、
- これまでに述べてきた日韓請求権協定に違反する韓国の行いと、
- 最近日本が行った輸出管理の運用の見直しとが、
全く無関係であることを再度強調し、この運用の見直しの決定が安全保障の観点からのみ行われたことを述べ、
世界各国は軍事に転用可能な物質や技術の輸出を適切に管理する責任があると述べています。
そして、韓国にアジア唯一のホワイト国として輸出手続きの簡略化などの様々な優遇措置を講じてきたことはひとえに「継続的な対話を通じて醸成される両国政府間の十分な信頼」を前提としていて韓国を信頼できるものと扱ってきたものの、
過去3年間日本側が何度も対話を申し入れてきたが無視され続けてきたのでこれ以上信頼できる国として扱うことができないことを述べています。
そして以下のように述べています。
この決定は、いかなる意味においても、旧朝鮮半島出身労働者問題に関する「報復」でも「対抗措置」でもない。このように関連付けることは、二つの全く異なる問題の根本的原因を曖昧にするだけである。
This decision was not in any way meant as “retaliation” or a “countermeasure” in relation to the issue of former civilian workers from the Korean Peninsula. Such a linkage only obscures the root causes of two very different problems.
日本は、国際法にのっとって、国際社会の責任ある一員として行動してきている。われわれは、引き続き前向きな2国間関係を構築していくためにも、韓国も同様に行動することを望む。
Japan has been acting as a responsible member of the international community, adhering to international law. We hope that South Korea would do the same, so that we can continue to build a forward-looking bilateral relationship.
最後に、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)について、
韓国による終了の決定は、「北東アジアの安全保障環境を完全に見誤っている」と批判し、
最後の段落で次にように締めています。
韓国政府は、同政府による協定終了の決定は日本による韓国向け輸出管理の運用見直しと関連していると説明しているが、両者は全く次元の異なる問題であり、関連付けられるべきではない。
The South Korean government has linked its decision to Japan’s update of its licensing policies and procedure for exports. These two issues are of a totally different nature and should not be linked together.
ちなみに、ジャパンタイムズでも全く同じ記事が出ています。
原文をコピペして英語を学ぶ-聞き流しも
河野外相の寄稿文は日本国民が共有するものですが、
メディアに寄稿されたものですので、そのメディアに著作権があると考えられ、
この記事では一部の抜粋に留めました。
皆さんが寄稿文の原文をコピペして私的に使用するのには何の問題もありませんので、
ぜひ原文をコピーし、このページの上部タブから「メモリーサポーター本体」の「貼り付けページ」を開いて貼り付け、
解析機能・朗読機能・辞書機能などを活用して効率よく読んだり、
「朗読繰り返し」を多数に設定して何十回も記事の初めから終わりまで繰り返し朗読させて聞き流しを行ってみてください。
(朗読は10段階の速度に変えられます。)
また、下記の形式で「貼り付けページ」で編集すれば多言語を扱うことができ、
日本語と英語を交互に表示して交互に読ませたりすることもできます。
[Paragraph]
[Language:1]英語の段落1
[Language:2]日本語の段落2
[Paragraph] [Language:1]英語の段落2 [Language:2]日本語の段落2(以下同じ。)
[Language:言語番号]の言語番号を変えれば、英語や日本語の2カ国語だけでなく、100ヵ国語以上に対応させることができ、
同時にたくさんの言語表示して順番に読ませることもできます。
言語番号と朗読可能言語はこちら。
日本語での言語名はこちら。
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