こんにちは。
最近ではアメリカのトランプ政権も採用し始めた「インド太平洋戦略」ですが、
2007年8月22日に第一次安倍内閣のとき安倍首相がインド国会で行った演説「二つの海の交わり」が、その起点ともいえるものでした。
この演説は、インドだけでなく、海外で非常に高く評価されており、安倍首相の傑作スピーチの1つです。
今回は、
- インド国会における安倍首相演説「二つの海の交わり」の原文と訳文
- 「二つの海の交わり」演説の背景と「自由で開かれたインド太平洋」構想への発展
- 演説に登場する人物や事柄の説明
- 米トランプ政権も採用し始めた「開かれたインド太平洋」戦略
- スピーチ原文を使って効率的に学習する方法
の順にご紹介します。
インド国会における安倍総理演説「二つの海の交わり」の原文と訳文
いろいろなバージョンで安倍首相演説「二つの海の交わり」をいくつかのバージョンで表示してみます。
お薦めは3つ目の、日本語を朗読させて意味を把握してから英語を耳を順応させるために2回徐々に速く朗読させるものです。
- 最大8つの言語を表示でき
- 各々最大10段階で朗読速度を変えられる
当「多言語学習サイト・メモリーサポーター」の自由度の高さを生かし、皆さんのお気に入りの方法を見つけてください。
(本ページ上部の「メモリーサポーター本体」から開きます。)
朗読には「▶」印のボタン群を使います。
(各ボタンの機能はマウスカーソルを上に置くと説明が表示されます。グーグルクロムで開がなければ基本的に朗読できません。)
日本語(朗読速度9)
2007/8/22 インド国会における安倍総理大臣演説 「二つの海の交わり」
【お薦め】日本語(朗読速度9)→英語①(朗読速度5)→英語②(朗読速度7)
2007/8/22 インド国会における安倍総理大臣演説 「二つの海の交わり」
※日本語をまず読んで意味を理解し、次に英語を一回目はゆっくり、二回目は速く朗読させることにより、耳を順応させることができます。
日本語(朗読速度9)→英語(朗読速度7)
2007/8/22 インド国会における安倍総理大臣演説 「二つの海の交わり」
英語(朗読速度7)
2007/8/22 インド国会における安倍総理大臣演説 「二つの海の交わり」
使い方は下記動画に各々5分弱に纏まっています。
「二つの海の交わり」演説の背景と「自由で開かれたインド太平洋」構想への発展
前年2006年の11月30日に当時の麻生外務大臣が講演で「価値観外交」を日本の立場で表した「自由と繁栄の弧」を提唱しました。
そして、2007年8月22日にインド国会で安倍総理が 既にご紹介した「二つの海の交わり」演説をしました。
第二次安倍内閣となってすぐに「セキュリティダイヤモンド構想」と「安倍ドクトリン(日本外交の新たな5原則)」を発表しました。
2012/12/27 [live mint] Asia’s Democratic Security Diamond
2013/1/18 開かれた、海の恵み ―日本外交の新たな5原則―(安倍ドクトリン)
下記記事の中で中西寛・京都大学教授が、
地域概念「自由で開かれたインド太平洋」を政府レベルで最初に打ち出したのは日本で安倍首相が2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICAD)で行った基調演説がその端緒であることを紹介しています。
メモリーサポーター本体に内蔵されている第6回アフリカ開発会議(TICAD)の安倍首相の基調演説はこれです。
2016/8/27 TICAD VI(第6回アフリカ開発会議)開会セッション 安倍総理基調演説
演説の最後の方の2つの段落を抜粋します。
アジアの海とインド洋を越え、ナイロビに来ると、アジアとアフリカをつなぐのは、海の道だとよくわかります。世界に安定、繁栄を与えるのは、自由で開かれた2つの大洋、2つの大陸の結合が生む、偉大な躍動にほかなりません。
日本は、太平洋とインド洋、アジアとアフリカの交わりを、力や威圧と無縁で、自由と、法の支配、市場経済を重んじる場として育て、豊かにする責任を担っています。両大陸をつなぐ海を、平和な、ルールの支配する海とするため、アフリカの皆様と一緒に働きたい。それが日本の願いです。
以下、「自由で開かれたインド太平洋」構想についての記事をご紹介します。
さて、ここ数年の韓国は、
- そもそも文大統領は共産主義者に近い政治信条であり、
- 文大統領になってから親北朝鮮・親中国の態度が一層鮮明になって日米関係を疎かにし、
- 中国との間で日米の同意を得ず勝手に日米韓協調を疎かにする3原則を同意し、
- 慰安婦像設置においてはウィーン条約22条の外国公館に対する義務を果たさず、
- 慰安婦合意を履行せず勝手に財団を解散し、
- 応募工問題では大法院の日本企業に対する賠償命令に対して日韓基本条約で約束した責任を果たさず、
日米ともに韓国を信頼できない状況がますますエスカレートしています。
また、安倍首相とトランプ大統領の間でかつてない強固な日米同盟が築かれています。
このような事情やそれを予想したからか、日米両政府は伝統的な日米韓協調で中国に対抗する路線を転換し、
安倍首相が唱えていた「自由で開かれたインド太平洋」構想に相乗りする形でアメリカ政府も「Free and Open Indo-Pacific」構想を打ち出しました。
実際はアメリカの相乗りにより、日本政府は更に強力に前面に打ち出し始めたというところでしょう。
中国は自由でもなく開かれてもいませんから、対中包囲網の側面は誰でも感じると思います。
- 国際法に違反して南シナ海に人工島を作って国際司法裁判所の判決を紙切れ呼ばわりして履行せず人工島を軍事要塞化する
- ウイグルやチベットでここ数十年に無い大弾圧を行い100万人以上の一般市民を「再教育訓練」と称して強制収容所に入れて虐待する
- 尖閣諸島などの日本の領海に軍艦まで派遣して侵略する
- 中国国内の外国企業に不公正な法律を適用して技術や財産を盗む
- 外国にスパイを送り込んだりハッキングをして不正に技術や情報を盗む
など、あらゆる不公正を行って軍事的野心を燃やて領土拡張を続ける中国に対して、
インド太平洋の主要国である日米豪印は、太平洋に領土を持っている英仏も引き入れて、緊密な協調や共同軍事訓練を通じて、中国の軍事的・経済的拡張に対抗し、
アメリカは関税を通じた貿易戦争でも中国に圧力をかけ、
現在の国際法や国際秩序の作っている平和と繁栄を守ろうとしています。
かつて大英帝国が作った国際秩序にドイツが挑戦して第一次世界大戦が起こった状況に似ているかもしれませんね。
しかし、都合の良い時は「自由貿易を守れ、国際法を尊重しろ」と、現在の国際法や国際秩序を利用しておきながら、
一方では国際司法裁判所の判決まで無視して軍事拡張を続ける中国が存在する限り、
日本は危機意識を持って行動し、私達日本人は自らの金ばかり追い求めていてはならないと考えます。
現在はアジアの危機です。
アメリカや米英はアジアの国ではないのですから、日本やインドが中心になってアジアの自由民主主義を守っていかなければなりません。
日本を植民地支配の危機から救った明治時代の先人に恥じないよう、私達も日々行動していきましょう。
「二つの海の交わり」演説に登場する人物や事柄の説明
さて、「自由で開かれたインド太平洋」構想の大元といえる安倍首相の歴史的演説に再び戻り、演説中に登場する人物や事柄について、ご紹介します。
2007/8/22 インド国会における安倍総理大臣演説 「二つの海の交わり」
人物・語句
- スワーミー・ヴィヴェーカーナンダ(Swami Vivekananda)
- ムガル(帝国)の王子ダーラー・シコー(Dara Shikoh)
- シスター・ニヴェーディター(Sister Nivedita)
- ラダ・ビノード・パール(Radhabinod Pal)
- ラビンドラナート・タゴール (Rabindranath Tagore)
- アショカ王 (Ashoka)
- マハトマ・ガンディー (Mahatma Gandhi)
- マンモハン・シン首相 (Manmohan Singh)
- 京都議定書 (Kyoto Protocol)
- ムンバイとデリー、コルカタの総延長2800キロメートルに及ぶ路線(インド高速鉄道計画)
- ジャワハルラール・ネルー首相 (Jawaharlal Nehru)
解説
特に、ラダ・ビノード・パール(Radhabinod Pal)判事は、安倍首相の演説中にもありますが、
連合国の報復である極東軍事裁判(東京裁判)に対して、裁判の資格が無いことや連合国の矛盾を勇気を持って判決文で述べて正義を貫いた、
日本にとって大恩のある人で、靖国神社にも顕彰碑があります。
<東京裁判判事選任の経緯>
2009年に発見されたインド総督官房の公文書によればパールは、1941-43年に、休暇中の裁判官の穴を埋める形で短期間裁判官代行を務めた弁護士であって、インド総督府の認める正式な判事ではなかったが、国内手続きのミスにより代表に選ばれた。
<東京裁判における主張 (パール判決書)>
パールは「裁判の方向性が予め決定づけられており、判決ありきの茶番劇である」との主旨でこの裁判そのものを批判し、被告の全員無罪を主張した。これは裁判憲章の平和に対する罪、人道に対する罪は事後法であり、罪刑法定主義の立場から被告人を有罪であるとする根拠自体が成立しないという判断によるものであり、日本の戦争責任が存在しないという立場ではない。
パール判決書は法廷においては公表されず、多数派の判決のみが、あたかも全判事の一致した結論であるかのような角度において宣告された。ブレークニー弁護人は、少数派意見も法廷において公表すべきことを強硬に主張したが、容れられなかった。パール判決書は、未発表のまま関係者だけに配布された。
なお、「パール判事は親日家故に日本に有利な主張をした」「反白人のため、欧米に不利な主張をした」という説は事実誤認であり、自身も強くこれを否定している。また、パールの長男も「(パールは)国際法の専門家として東京裁判を批判しただけであり、日本を擁護することを考えていたわけではない」と2007年に語った。事実、パールは意見書の中で、残虐行為などについても、敗戦国の日本やドイツ、戦勝国のアメリカに分け隔てなく批判的見解を述べ、一方の政策への個人的見解を前提とした恣意を強く戒めている。たとえば訴追理由となった日本軍兵の残虐行為についても、多くは実際に行われていたであろうと判定している。
米トランプ政権も採用し始めた「開かれたインド太平洋」戦略
安倍総理とトランプ大統領の何十時間にもなる直接会談や電話会談で「自由で開かれたインド太平洋」構想が次第に煮詰まり、
国家戦略として動き始めたのではないか、と私は考えています。
アメリカでも「(Free and Open) Indo-Pacific」という言葉が使われるようになり、トランプ大統領やペンス副大統領のスピーチをピックアップしました。
August 1, 2018 Remarks by Vice President Pence in Office Call with Commander of the U.S. Indo-Pacific Command
September 28, 2018 President Donald J. Trump and Prime Minister Shinzo Abe Are Working Together to Maintain a Free and Open Indo-Pacific
November 13, 2018 U.S.-Japan Joint Statement on Advancing a Free and Open Indo-Pacific Through Energy, Infrastructure and Digital Connectivity Cooperation
November 18, 2018 President Trump’s Administration is Advancing a Free and Open Indo-Pacific Through Investments and Partnerships in Economics, Security, and Governance
スピーチ原文を使って効率的に学習する方法
お薦めの学習の方法を、使い方を説明する動画をご紹介しつつ、お伝えします。
手順①
「メモリーサポーター本体」に内蔵している約2400本の中から、読みたいスピーチやステートメントを検索して表示する。
手順②
表示したい言語を選択して朗読速度を設定する。
手順③
解析機能を使って英文を単語に分け、単語の意味を調べ精読し、一番下に出た単語一覧表を利用して単語を記憶する。
手順④
もっと詳しく調べたい単語は辞書機能を使って調べる。
手順⑤
記事中で出てきて操作した単語は、ログイン&保存しておけば後日に優先的に単語帳や単語クイズに表示されるので、適時復習する。
手順⑥
段落ごとに朗読速度をいろいろ変えてリスニングする
手順⑦
「朗読繰り返し」を多数に設定し、趣味や家事をやりながら、記事の初めから終わりまで何十回も聞き流す。
他にも他のサイトなどから文章をコピペして学習する方法もあります。
これらはあくまでお薦めの方法ですので、皆さんの事情により最適な学習方法を見つけてくださいね!